conciliat clavis
俺はここにいていいのか
だって 俺には なにもない
俺が忘れた 夢の続きを
どうやって 探せばいい
どうやって 見つけたらいい
概要:悪魔の寵愛をうけた子供。契約時の代償は「自分の死という事実」。寵愛を受ける以前はごく普通の子供。家族構成は母、父、当人。家庭環境は良好だったと思われる。
基底世界XXXX/1X/2X地点で事例No.2が発生、悪魔の干渉に依って運命が過度に収束。以後運命共同体として生息。多くの世界線を悪魔の元で暮らしている。
運命共同体としての共通の特徴を持つ他に、代償とは異なる形で軽度の読心能力を会得している。
契約した悪魔の私情によるものでは?→調査は難しい。
プロトコル開始後、最初に見つかった利用価値のある運命共同体である。No.3"物食イノチ"と二つで一つの物語を織り成す主人公。現在、6300一号の二度に渡る「世界線の収束」や「展開への湾曲」により、記憶の混濁が激しくなっている。健忘症気味。その内自分の役目も存在も忘れてしまうのだろう。かわいそうに。
運命共同体とは:運命が過度に収束する事によって、その事象をある程度引き継いだり踏襲したままパラレルワールドが作られ結果沢山の物語で同じ意識を持った人間が産まれる。その特異な人間の集合意識のこと。簡単に言えば、スターシステムの中常に(参考程度でも)同じ顔、同じ性格、同じ名前、同じ過去でいられる人間。
運命共同体共通の特徴:当人の周りの時間・空間が歪曲しており、その領域内では軽度の現実改変が可能。(いつの間にかそこにいる、間に合うはずのない距離が間に合う、等)
必ず過去に奇怪な巡りあわせが起きている。(所謂、ご都合展開)
事例No.2:某地点時刻2X:XX頃、No.2の一家を変異したNo.3が襲撃。(No.2の肉親両名が死亡、No.2のみ外出していた為襲撃を免れる)
後No.3が逃亡、逃亡先の崖に転落し死亡。その際にNo.2が悪魔と契約。代償を支払った後、次いでNo.3の契約が成立し、両名の契約内容が互いの運命に過度な干渉をする結果となった。
代償「自分の死という事実」:死のうとする行動、死のうとした結果が修復される。リスポーン型不死。身体の老いもほぼ無いが、ゆっくり時間をかけて成熟はしていくらしい。悪魔との契約の証に髪色が変化。
軽度の読心能力について:白い左目によって相手の心象を映してしまう。精神の波長が合う相手には奥深くまで映ってしまうとか。
以下、インタビュー記録
Q. 目が白い方と青髪は生まれつき?
A. 物心ついた頃には既にこうなっていた。
染めた訳でもなし、生まれつき…だろう。
…でも何か、引っかかるんだ。この死ねない体だって、本当は…。
Q. 普段何をしてるの?
A. …町中に蔓延るひとがたのバケモノを、組織の下討伐している。
俺達はその「元人間」と呼ばれている奴らが主力の組織に属している。
その、元人間のなれのはてが、バケモノ……らしい。
毒を以て毒を制しているといった感じだ。
Q. 学校行ってないの?
A. 勉強したいやつだけしている。それなりに難しい。
あいつが多分心理学で…俺が生物学。
あいつっていうのはあの人食い。名前、知らなくて。
……いや、覚えて、……いられなくて。
Q.
A. 冬のあの日。割れた照明と冷たい室内に転がった二つの骸。
闇の中光る赤い瞳。あいつは間違いなく俺の両親を殺した。
なのにどうやって自分が生き延びたのか、何も思い出せない。
あいつの顔だって、そう、もっと別のどこかで見ていたはずで
名前だって、何度も聞いたのに、あいつの事だけ忘れてしまう。
いつも、知らない傷が増えているあいつを、止められないでいる
…違う。俺は…、俺は、どこまで、覚えていて…どこまで、忘れている?
嫌だ。忘れたくない。前の俺は、こんなんじゃなかった。
俺じゃない。忘れたい訳じゃない。どうして、何かがおかしいまた今度。
備考:No.2は元々制御しやすい精神性をしているようです。